瀬戸の香 岡田旭生さん瀬戸の香 岡田旭生さん

瀬戸内の海の恵みは地元の自慢。瀬戸内の海の恵みは地元の自慢。

瀬戸内海は穏やかです。晴れた日に小豆島から海を見晴るかすと、小さな波頭が幾つも並び、太陽にきらきらと輝いています。
この海からは、桜色をした近海ものの鯛があがります。ぷりぷりと身が締まって香りよく、鮮度抜群。まずは刺身で上品な香りを楽しむ。塩焼きにしてよし、さっと煮てまたよし。祝い事なら見目麗しく尾頭付きで。小豆島の人々にとって瀬戸内の鯛は自慢の味、穏やかな風土の恵みなのです。

ぷりぷりとした鯛の切り身をたっぷりと。ぷりぷりとした鯛の切り身をたっぷりと。

佃煮製造で知られる「瀬戸の香」の、もうひとつの自慢が、鯛めしの素です。
「真鯛は小豆島土庄の近海もの。漁師が、とったその場で活け締めしているので、とれたてそのままの鮮度が保たれるんです」と岡田さん。やさしく火を通すと、身はふっくらと柔らかくなります。これを特製の漬け汁に漬け込んで、味をゆっくり染みさせて。
「漬け汁は、代々継ぎ足しながら使っています。魚からも出汁がでるから、角のとれたまろやかな味がするんですよね」

桜色した地ものの鯛を大切に生かして。桜色した地ものの鯛を大切に生かして。

「瀬戸の香」の鯛飯の素は、化学調味料を使わず、自然の味わいを生かして作られています。
「安心して口にできるのが、瀬戸内の魚。なのに添加物を使ったら、せっかくのよさが消えてしまいますから」
味付けは小豆島産の本醸造醤油。薄口を控えめに使うのは、鯛本来のきれいな色を生かしたいから。粗塩を加え、うまみとこくを補います。
「出汁に使う昆布は上質で、口に入れた瞬間においしさが広がる。鯛の香りも引き立ちます」
地元自慢の海の幸。「美味しい!」と言ってもらいたいからと、見た目も味も丁寧に仕上げています。

島の喜びに寄り添ってきたやさしいごちそう。島の喜びに寄り添ってきたやさしいごちそう。

「瀬戸の香」の鯛飯は、国産野菜を使った五目ごはんでいただきます。
「五目ごはんは、この島ではちょっとした行事で振る舞われる、プチ贅沢の味なんですよ。たとえば運動会では定番料理。また、地元の会食やお年寄りの寄り合いでも、手作りの五目ご飯が出てきます」と岡田さん。
「うちの鯛飯の素は、90歳になるうちのおばあちゃんが作る、五目ごはんのレシピがもと。友達や親戚が来ると腕を振るってくれた、皆が大好きな味なんです」
だから口に運ぶとどこかほんのり、懐かしい。小豆島の人々の喜びに寄り添ってきた、やさしい郷土の味なのです。
こぼればなし その1
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こぼればなし その2
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